娘と生きる不登校な時間

娘から笑顔が消えた。いじめ、不登校、精神崩壊、転校、リストカット、性犯罪。生きる意味に疑問をもつ娘に、自信と笑顔を与えたい。二人三脚で難関大学受験に挑むシングルマザーの記録。

┝03.逃げたい「いじめ」と逃げない「プライド」

現実と向き合う

 

心の準備が整うまで

塾から帰ってきてすぐのミノリは

いつもテンションがやや高めで

 

今日のテストはどうだったとか

塾友の〇〇君が面白かったとか

いろいろな事を笑顔で話してくれます。

 

いつもの私なら

一緒に笑ったり、褒めたりしながら

たくさん話を聞いてあげるのですが

 

この日だけは、そうもいきません。

 

かといって

重くなりすぎる空気は避けたいと

思いました。

 

私は右手を大きく上げました。

 

「はいはいっ ミノリさん

ただ今より少し真面目なお話を

いたしまーす。

が、その前に!

注意事項がありまーす。

いいですか?

まず、私はどんな事があっても

ミノリの味方でーす。

そしてミノリがして欲しくない事は

絶対にし・ま・せ・ん!

それだけは安心して

聞いてほしいのですがー・・・」

 

と、少しふざけても見えるような

そんなやや明るめのテンポで

私は話し始めました。

 

「実はさっき、

学校の先生がお家に来て・・・」

 

そう言った瞬間

ミノリはハッと察した表情をしました。

そして『まずい』というかのような

落ち着かない表情に変わりました。

 

私はミノリの頭を大きく両手で囲み

優しく揺さぶり言いました。

「ミノリ、辛かったね。

こんな大きいこと一人で抱えて

めちゃくちゃしんどかったやろ?

も~バカ!よく頑張ったな~。

よく頑張った~。」

 

たくさん聞きたいことがあるはずなのに

その時は

 

 ほらここに、味方がいるよ

もう安心していいんだからね

 

そんな気持ちだけが溢れてきて

ただただミノリの頭を

ガシャガシャしている私でした。

 

ミノリは少し照れくさそうな

幼い笑みを見せつつも

迷いのある落ち着かない表情は

消えませんでした。

 

 

こんな時

よくドラマであるような

親子で涙を流しながら

抱き合って・・・

ということに

お互いにならなかったのは

 

これが現実

ということなんだと思います。

 

現実はまだ戦いの途中なので

誰かに話したからとか

味方が一人増えたからとか

そんなことで涙が流れるほど

簡単なことではありません。

 

まだ何も解決しておらず

また明日も戦わなければならない

その現実は、変わらない

 

それが解っているから

涙どころか

どこに向けて良いか分からない

怒りの目力を空中に向けたまま

 

私とミノリは

話ができる、聞ける

心の準備が整うタイミングを

そのまま待ちました。

 

(おそらくそんなに長い時間では

なかったと思います。

でも、とても長い時間に感じました。)

 

 

起きていたこと、起きていること

その夜、ミノリから聞けたことは

こんな事でした。

 

【先生いじめ】が始まった当初、

ミノリも友達とゲーム感覚で

それに加担した事があった。

  

ある日、主犯格の男子が

みんなで一斉に学校を休もう

と指示をしたため

その日ミノリは、私に

頭が痛いと嘘を付いて休んだ。

 

悪い事だとは分かっていたため

そこに参加していた事や

嘘を付いた事がばれるのが怖くて

クラスの状況を私には言わなかった。

 

しかし、先生との個人面談の際

 先生に「ミノリちゃんなら

きちんと教えてくれるよね?

絶対に誰にも言わないから。」

と言われ

 

信用されている事が嬉しくて

つい主犯格の男の子の名前を

言ってしまった。

 

しかしなぜか

ミノリが告げ口した事が知れ渡り

それ以来いじめのターゲット

されるようになってしまった。

 

という事でした。

  

そこには

たくさんの問題があります。

 

ミノリも含め

先生いじめを面白いと思っていた

子ども達の精神状態。

 

生徒を調子よく尋問し

簡単に秘密がばれるような方法でしか

解決策が練れなかった先生の甘さ。

 

いじめの詳細が分かっても

変わっていないいじめの存在。

それを誰一人阻止できない

守れない、大勢の大人達。

 

 

考えればキリがないほど浮かぶ

この現実問題について

間違いなく学校の先生方だって

同じように考え、対策を考え

取り組んではこられたと思います。

 

それでも何も変わらない、

どころか

エスカレートして

 

危険なので

学校を休んでもらっていいですよ

 

なんて言われている我が娘。

 

 

ミノリのプライドと母の一択 

小学6年生の二学期

もうあと半年もすれば卒業で

その間に中学受験も控えている。

 

こんな時にわざわざこんな場所で

無理をさせる必要はない

 

そう思った私はミノリに

学校を休んでもいいよ

言ってみました。

 

でもミノリは

休みたくない

と言いました。

 

学校なんて好きじゃない。

友達なんてもういらない。

でも逃げたとは思われたくない。

私はあいつら(主犯格の子たち)より

たくさん勉強して頭もいいのに

馬鹿にされたくない

こんなことで調査書(受験の)の

欠席日数も増やしたくない

 

思わずため息が出てしまいそうな

そんなミノリならではの

プライドの高さ

こんな状況でも

頑張らせてしまうのでした。

 

これは避難であって

逃げではないと伝えましたが

ミノリの決意は揺るぎません。

 

我が子の性格がそれならば

母はそれを尊重するしか

ここでの選択肢はありません。

 

私は決めました。

 

分かった。

ミノリ、明日から私も

 

学校へ行く!  

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ここからの事は

次回に詳しく書きたいと思います。

 

最後まで読んでくださった方

ありがとうございました。