娘と生きる不登校な時間

娘から笑顔が消えた。いじめ、不登校、精神崩壊、転校、リストカット、性犯罪。生きる意味に疑問をもつ娘に、自信と笑顔を与えたい。二人三脚で難関大学受験に挑むシングルマザーの記録。

┝02.学校で死に 塾で生きる

気付いていないことにも気付かない

 

12歳ミノリの受験生活

私たちが母子家庭となり

一年が経とうとしている

ミノリ6年生の夏の終わり。

  

中学受験への意気込みも

さらにパワーアップし

 

朝起きるのが苦手なミノリが

毎朝、学校へ行く前に

ドリルを数枚解くようになったり

 

学校から帰ってきたかと思えば

私が作っておいたお弁当を持って

すぐに塾に向かい

夜9時過ぎまで勉強し

 

帰宅後学校の宿題を済ませ

塾で間違えた問題を見直してから

お風呂に入り

12時までには眠る。

 

そんな生活に変わりました。

  

自分で決めた事だとはいえ

側で見ていると

 

大丈夫かな

そこまでする必要があるのかな

 

と、中学受験という選択肢

私が与えてしまったことが

実際本当に良かったのかと

一瞬不安になってしまうほどで

 

きっと中学受験を考えていない

親御さんから見ると

 

こんな生活を

幼い子どもにやらせている私は

鬼親に見えるんだろうなぁ

 

なんて想像してしまい

ミノリがそこまで頑張っていることは

周囲に言えないズルイ自分がいたりして。

  

でもその反面、ミノリは

堂々と自ら進んでそこへ向かっていて

塾を休みたいとか

つらいとか、しんどいとか

一度も言うことがなかったし

 

それどころか塾から帰ってくるときは

いつも笑顔で「楽しかったー!」

言うのです。

 

確かに

ミノリが通っていた塾は

テレビでよく見る

【頭にハチマキを巻いて

大声で拳を振り上げる】

ようなタイプの熱血塾ではなく

 

過酷とか可愛そうな雰囲気の一切ない

アットホームな

笑い声さえも聞こえる教室で

 

そういえば他の子も

お迎えに行けば

だいたいみんな笑顔でした。

 

だからこれは

その温かい空気感の中で

上手に子ども達の

気持ちや能力を高めていく

先生方の努力の賜物

 

ああ、プロなんだなぁと

いつも感心させられ

 

人としても

仕事に向き合う姿勢としても

見習いたいと思える

素敵な先生方でした。

 

 

でも実は・・・

 

ミノリが毎日とにかく楽しそうに

その塾へ通っていたのは

先生方ののおかげだけでは

ありませんでした。

 

その時、その場所が

唯一

ミノリがミノリらしくいられる

 

生きるための心の支え

だったからでした。

 

12歳ミノリの学校生活苦

ミノリ

6年生の二学期が始まって

すぐのことでした。

 

夜遅く

玄関のチャイムが鳴りました。

 

夜に人が訪ねてくることは

ほとんどないので

不思議に思いつつドアを開けると

 

そこには

 ミノリのクラス担任の男の先生と

生徒指導の先生が二人で立っていました。

 

 

(先生)

夜分に突然すみません。

生徒の自宅を家庭訪問して回っています。

 

え?こんな時間に?

 

と驚いていたら

すかさず担任の先生から

こんな質問が。

 

 

(先生)

今日ミノリちゃん

大丈夫でしたか?

 

 

え?大丈夫とは?

いつもどおり帰宅して

いつもどおり塾に行っていますが?

 

 

そう言うと

先生方は一度顔を見合わせ

言いました。

 

 

(先生)

実はミノリちゃん今日

教室に入れていないんです。

 

 

いったい誰のことを言っているのかと

頭が言葉の意味さえ

理解しようとしないほど

 

ミノリに限って

一ミリも考えたことがなかった

先生からの報告でした。

 

 

実は一学期の時点で

ミノリのクラスには

【担任の先生いじめ】

を主とした学級崩壊が起こってたらしく

それもその日初めて知りました。

 

主犯はクラスのある男の子。

その子の言うことを

クラスのほとんどの男女がきき

 

その時すでに

担任の先生は存在が無視され

その先生の授業はもちろん

ホームルームの時間も全て

立ち歩き・暴言などに始まり

全く機能していない状況で

 

他の先生方が注意しても

火に油。

 

そしてそれに対応すべく

担任の先生が

【主犯格は誰なのか】

をつきとめるために

ある時、生徒一人一人と

個人面談をしたそうなのですが

 

その際、ミノリが

その子の名前を正直に言ってしまい

それがどこからかバレて

担任の先生に加えて

ミノリもいじめのターゲット

なってしまったらしいのです。

 

ミノリはプライドが高いタイプなので

毎朝、それでも教室に行き

一度は自分の席に座るようなのですが

 

仲が良かったはずの女子を含め

クラスの大半の子に無視され

後から定規で背中を突かれたり

歩けば追いかけられたりと

 

それは隠すこともなく

堂々と行われていて

彼らは先生の注意に怯む様子もなく

どんどんエスカレートしているため

 

見ていて危険だという先生方の判断により

その時すでに

ミノリは教室ではなく

校長室で、までかけて

毎日過ごしているというのです。

 

 お母さんには言わないで

ちょ、ちょ、

ちょっと待ってくださいよ!

危険って…

小学生がすることでしょ?

そんなの先生

大の大人が

止められないんですか?!

 

私は思わず声を出し

そしてその日

いつもどおりに見えたミノリの姿を

一瞬一瞬思い返していました。

 

担任の先生は目線を下げたまま

黙っていました。 

代わりに

生徒指導の先生が言いました。

 

(先生)

本当にすみません。

 

実はミノリちゃんはこのことを

お母さんには言わないで

と言っていたのですが…

でも、もうかなり危険だと判断しましたので。

ミノリちゃんの状況を考えると

しばらく学校をお休みしていただいても

構いません。

 

ミノリちゃん

今日は結局ずっと校長室で過ごしていて

一日中、何度も泣きました。

 

校長室にいても・・・

危険なんです。

 

 

理解できない状況に

例えようのない怒り

先生に言いたい事、聞きたい事が溢れてきて

体が震えてくるのが分かりました。

 

でも…

 

お母さんには言わないで

 

そのミノリの言葉が

それ以上に

とてもとてもショックで

 

ミノリがそんなにも辛い思いをしているのに

私は全く気付いてあげられなかった

ミノリの一番の理解者だと

勝手に思い込んでいただけで

ミノリが助けを求める手すら

出させてあげられていなかったんだと

 

自分の無力さが情けなくて

ミノリに申し訳なくて

とても悔しかったです。

 

でも

悲しんでばかりはいられません。

 

まだ間に合う!

ミノリときちんと話をしなければ!

 

先生方には今後の保護を

しっかりお願いし

私はミノリの帰りを待ちました。

 

恐怖と涙と怒り

後に他のお子さんからの説明により

先生が言っていた

『校長室にいても危険だ』

という事の意味が分かりました。

 

ミノリは

校長室で保護してもらうことになる前は

保健室で過ごしていたようなのですが

 

そうすると

休み時間のたびに主犯格率いる

クラスの何人もの男子が保健室に来て

ミノリを冷やかしながら

ベッドの上を上靴のまま飛び回ったり

大声で騒いだりし

 

本来の保健室の役目ができない事はもちろん

優しい保健室の先生では収拾がつかず

止むを得ず、校長室なら

という事になったようなのです。

 

が…

校長室って、子ども達にとっては

滅多に入ることのできない

とても貴重なお部屋ですよね。

 

そこにミノリだけ特別に

入れてもらっている事が

ズルイ!!

余計に事態を悪くしたようで

 

鍵をかけていても

休み時間になれば

ドアをドンドンと蹴り

ズルイぞ!出てこい!

と怒鳴り散らすようになったそうです。

 

校長先生が出て行き叱っても

またその次の休み時間には同じ事が。

 

中にいるミノリはもう

それだけでも恐怖なのに

 

トイレなどで一瞬

廊下に出たりすると

いたぞー!!

と追いかけ回され

 

ある日、怖がるミノリは

校舎中を追いかけてくる子から逃げまわり

あげく運動場へと走り出て

 

運動場の真ん中で

耳を塞いでうずくまってしまった 

というではありませんか。

 

もう、その状況を想像すると

今でも涙が溢れます。

 

怖かっただろうな

辛かっただろうな

 

そう思いながら

ミノリの帰りを待つ間

 

人一倍、温和で

平和主義者の私も

さすがに

怒りが込み上げてきました。

 

自分の不甲斐なさはもちろん

その子ども達に対して

学校の先生に対して

その子達の親に対しても。

 

 

そして

ミノリが塾から帰ってきました。

 

遅い夕食を食べながら

私はゆっくり話し始めました。

 

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ここからの事は

次回に詳しく書きたいと思います。

 

最後まで読んでくださった方

ありがとうございました。